Chie K.さんのOTAKU道

更新殆どない予感

タイバニ米たに監督イギリスインタビューざっと訳

ニコのブロマガから移植です。2014年のタイバニ米たに監督イギリス遠征時のインタビュー訳文です。ニコ一般会員になるのでこちらに置きます。主に自分用ですが。

当時のままで置きますが、元記事のURLが少し変わっていたので貼りなおしました。それではどうぞ~。

 

へんなとこは適宜教えてください~。

5/22追記  もしかしたらこの記事が米たに監督の5月18日BFI(英国映画協会)ANIME WEEKENDにてThe Risingがプレミア上映された時の舞台挨拶でのインタビュ―内容なのかと思われている方がいらっしゃるかもしれませんが、今回ここに置いている和訳の元記事はUK ANIME NETWORKという1996年から活動しているオンラインアニメマガジンサイトの記者が、おそらくBFI舞台挨拶前後に米たに監督に時間をもらって行ったインタビューのようです。
     
  元記事はこちら  http://www.uk-anime.net/articles/Rising_like_the_sun_-_Yoshitomo_Yonetani_interview.html

 

 イギリスで日本からきたゲストにインタビューする時、ゲスト達がはしゃいで話すのを見るのは珍しいことではない。実際のところ、タダで外国旅行ができるような機会なのだから、その待遇に眉を潜める人などそうはいないであろう。しかし、この「タイガー&バニー」という熱い意気込みのこもった作品のためにやってきた人物は、まさにその作品にぴったりハマる熱い人であった。

 BFIのバーで我々のインタビューに応じている時も、ヨーロッパのプレミア上映が話題を呼んでいることを受けて集まった観客を目の前にしても、この映画の監督、米たにヨシトモ氏は、常に満面の笑顔を浮かべていて、とてもスタッフに厳しい指令を飛ばすようなタイプには見えない。彼の監督としてのやり方がどうであれ、その屈託のない笑顔がこの作品を導いていったのであろう。そして彼はこのライジングのプレミア上映を前に、劇場版Tiger and Bunny2作品の製作について、ありのままの率直なムードで私たちの質問に答えてくれた。

 

インタビュアー(以後「イ」)まず最初に、イギリスへようこそ。ここには初めて来られましたか?

 

米たに監督(以下「ヨ」) 初めて来ました。ありがとう。

 

イ) ロンドン滞在中、どこか行かれましたか?

 

ヨ) シャーロックホームズ美術館に行ってきたところです。

 

イ) ご自分の監督作品がヨーロッパでプレミア上映されることについてはどんなお気持ちですか?今の時点で特別な想いなどあるでしょうね。

 

ヨ) つい最近まで、自分のデスクに向かうだけの生活でした。ちっぽけで狭い世界の中で、ただ働き続けていました。それが突然、半日かけて飛行機に乗って、今ここにいます。がらっと変わった場所へぽーんと飛んできました。でもとても楽しい体験です。

 

イ) 映画「the Rising」を語る前に、やはりTiger and Bunny劇場版第1作となった「The Beginning」について触れるべきでしょう。「The Beginning」はテレビシリーズの初期のストーリーに、独自に全く新しいエピソードを加えたものでした。これはどういう理由でこのようなスタイルをとることになったのでしょうか。また苦労された点などありますか。

 

ヨ) Beginningのこのアイデアについては、私が監督になる前からありました。元々脚本担当の西田征史さんが、テレビシリーズに入れたかったけれども入れられなかったエピソードがいくつかあって、彼はそれをもとにThe Beginningのシナリオを書きました。The Risingについては(テレビシリーズの)ストーリーを少し先に進める感じで、プロットを組んだのです。

 

イ) これはあなた自身よりも寧ろ脚本担当者に聞くべきことでしょうが、既存のテレビシリーズの中に、新しいストーリーと新しい悪役(ロビン)を作り出して埋め込むことは難しかったのでは?

 

ヨ) The Beginningについては何が難しかったかというと、脚本担当が人間のドラマを描きたかったという点です。アクション映画ではなく、セリフで魅せる映画。そういう場合、映画自体が面白くないと折角のセリフや会話も生きてこない。私のやるべきことはいかに娯楽的な要素も盛り込むかということでした。絵コンテの段階でたくさんのアイデアを盛り込みましたが、一番難しかったのは、映画の終盤でした。クライマックスを迎えているのに、タイガーは実際には何もしない、したくてもしてはいけない場面とわかっている、だから我慢している、その場面でした。

The Risingについては取りかかったときにはだいたいの筋書だけしかありませんでした。そこで前と違ったデザインだとか違ったアイデアをできるだけ考えていきましたので、たくさんアイデアが集まったんです。そのアイデアの一つに、イギリスのような場所を背景として取り入れるというものもありました。

 

イ)  The Risingに舞台が移ることになって製作していく時点で、どういった結末を想定していましたか?観客に伝えたかった思いというものが何かありましたか?

 

ヨ) テーマやメッセージといったものは最初から明確だったわけでは全然ありませんでした。脚本会議を開いては何度の何度も練り直し、絵コンテも何度もやり直しました。そうやって何度もやり直してたどりついたのです。The Rising―お日さま登る―。人は皆日々の生活やその魂において前を向いて進んでいく。でも皆が皆同じ歩幅で進んでいくわけではない。今より自分を変えていこうとか、良くなろうともがくのではなく、結局は自分は自分らしくあればいいのだということ。無理に変わる必要はない。そういう自分自身の気づきが一人一人にとっての”Rising”だということです。

 

イ) この映画はテレビシリーズやthe Beginningを見た人と同じように、全く初めて観る人も取り込めるように作りましたか?もとい、この映画をみた人々皆が登場人物やストーリー設定にすぐなじんでくれるという自信はありましたか?

 

ヨ) 私は本当にタイバニのファンのために何かを作りたかったんです。だから、タイバニファンが少数派だとしても、タイバニワールドを愛してくれる人たちのために、というのが念頭にありました。でも商業的な面や製作会社のことをかんがみれば、まだタイバニを知らない人々にもアピールできなければビジネスとしては成り立ちません。ですから私たちはそういったタイバニをしらない人達が、タイバニファンと同じように楽しめるように心がけました。

 

イ) 映画を見ていると、上映時間の中にたくさんのものが詰め込まれているように思います。テレビシリーズには入りきらなかった場面やアイデアが代わりに映画に入ったのでしょうか、それともThe Risingの場合は全く新しいものばかりなのでしょうか。

 

ヨ) The Risingでは各登場人物がただより強く進化するというのではなく、元々彼らが持ち合わせているものを深く掘りさげ、彼らが己の内面を見つめることによって得られた自身の新しい気づきを、意味のあるものとしていくという展開を考えました。

 

イ) この映画のアニメーション面の注目すべき点として、2D(セル画?)と3DCGを組み合わせたことがあげられます。このシリーズが始まった当初に比べて目覚ましい技術の向上がありました。この2Dと3DCGとの組み合わせについての利点と弱点についてはどう見ておられますか?

 

ヨ) テレビシリーズではこの試みは非常に難しかったです、何度もやり直しましたし、全てのフレームに到るまで修正したりしました。The Beginning製作時、映画の大きいスクリーンで見直したら、それでもたくさんミステイクが残ったままなのに気が付きましたよ!The Beginningはビッグスクリーンにサイズを合わせる必要があったし、The Risingは尚のことでした。

 

イ) 他にこのタイバニワールドを映画のビッグスクリーンにもってくるにあたって、何か苦労したことは?

 

ヨ) 本当はハリウッド級のものを作りたかったんですが、お金がね。なので少ない予算と限られた人手、そして短い上映時間枠の中で、ほんとに頭をつかって色んな問題に打ち勝って、出来うる限り最高のクオリティを生み出せたと思っています。ものすごい技術と演算が導入されています。この映画の最後のビッグアクションシーンは特に、ある意味私たちがゴールに行き着いたという感があります。なかなかこんなアニメーションは見られませんよ。

 

イ) ここでちょっと軽めな質問を。これはやっぱり聞いてみたいのですが、もし何か(NEXT)能力をもつとしたら、何がいいですか?

 

ヨ) 仕事が速くできる能力がいいです!私も年を取ってきて、依然ほど目もよくないので長時間集中することが難しいのです・・・ワイルドタイガーみたいにね!

 

イ) これはお答えいただけるとは思えないんですけど、たくさんの方々が聞いてほしいとおっしゃっていますので・・・この先タイバニの続編は来ますか?それか何か今の時点で私たちにお話していただけるプロジェクトはおありですか?

 

ヨ) しばらくはタイバニのアニメーションはありません。しかしコミック版と、ドラマCDが今後リリースされる予定です。サンライズのスタッフは今別のプロジェクトに大勢関わっていますし、私自身もしばらくは、タイバニで一緒に働いたスタッフが自分のプロジェクトを進めるのを手伝いながら、他のことをしていると思います。

 

イ) 最後に、ここイギリスのタイバニファンに何かメッセージを。

 

ヨ) 私は実際タイバニの舞台をロンドンに持ってきたかったんです。デザインもしたし、色んなシーンも描いた。参考文献としてどっさり写真集も買い込んでね。それは頓挫しましたんですけれども、タイバニにはそれだけいろんな可能性があると感じました。ここにいるタイバニファンの皆さんが、世界のあちこちにNEXTパワーを持つ人々がいるんだって想像してくれるといいなと思っています。


イ) 今日はどうも有難うございました。本当に楽しいひと時でした。

ヨ) どうも有難うございました。